現在は新型コロナワクチンも国費で賄われていますが、今後インフルエンザワクチンのように個人負担になってくる可能性がありますね。そこで今回は、ワクチン・予防接種は経費にするための経理処理の注意点や勘定科目などをご紹介。
従業員のいない個人事業主でなければ、ワクチンの接種費用は経費にすることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
ワクチン・予防接種の勘定科目
ワクチン・予防接種によって従業員の体調管理を行うので、「福利厚生費」が勘定科目となります。ただし何も対策せずに福利厚生費へ計上しようとすると、ワクチンの接種費用は給与になりかねません。そうなると会社側では経費になるものの、従業員にとっては所得税額の計算に算入されてしまいます。これは従業員にとって損になるわけですから、避けなければなりません。
ワクチン・予防接種を経費に!経理処理の注意点
それでは何に注意をしていけば、ワクチンの接種費用を福利厚生費に計上することができるのでしょうか。
ポイント1:希望する従業員全員に接種費用を補助する
会社の役員のみや管理職のみ、という縛りがある場合には給与となります。ですから従業員全員に対して、「2,000円」や「接種費用の全額」などを補助する必要があります。なお補助する場合には、ワクチン接種費用全額を補助しなければならないわけでありません。会社によって決めることが可能です。
ただし全額補助でない場合には、ワクチン接種率が落ちる可能性があります。接種はできるだけ多くの従業員が行うことで威力を発揮しますので、せっかく補助をするのであれば全額補助をお勧めします。その場合は経費精算として処理が増えるので、経理負担が増えることにも留意しましょう。
またワクチン接種を希望しない人に、接種を強制してはいけません。もしもできるだけワクチン接種を促したい場合には、「ワクチン接種当日や翌日に特別休暇を与える」などの対応をすることをお勧めします。
ポイント2:高額すぎないこと
インフルエンザの予防接種のように、ワクチン接種というのは予防するためのものです。そのためワクチン接種費用は自費となり、決まった価格がありません。病院によって違う価格を設定できるのです。
とはいえ、通常3,000円前後であることがほとんど。ですから通常の価格よりも明らかに高い価格、例えば補助額が10,000円という場合には所得税に算入される可能性があります。もちろん新型コロナワクチンやその他のワクチンで、通常10,000円程度である場合には補助額が10,000円となっても問題ありません。
つまり、通常の接種費用を逸脱しない額を補助することで、福利厚生費に算入できるようになるわけです。
ワクチン・予防接種の補助は積極的に
ワクチン・予防接種には賛否両論あります。様々な理由で接種したくない、という方もいることでしょう。
しかし接種したい方も多いことは確かですから、できるだけワクチン接種への補助をすることをお勧めします。補助を行うだけで社内のワクチン接種率が上がり、従業員の急な休みや集団感染が減るのであれば補助へのメリットは大きいと言えます。またワクチン接種への補助は福利厚生の一環となりますので、「この会社は福利厚生がしっかりしている」という評判にも繋がります。
ただし再度になりますが、ワクチン接種を強制することはできませんので、注意しましょう。経営者側がもしもワクチン接種を推奨する立場を取っていたとしても、接種したくない従業員に詰め寄ることは避けなければなりません。ワクチン接種を推奨したいのであれば、先ほども書いたように特別休暇の設定がお勧めです。
まとめ
- ワクチン・予防接種は福利厚生費にできる
- 接種したい従業員全員に補助を行うこと
- 補助するワクチンの相場を確認し、その分の補助を行うこと
- ワクチン接種を補助したとしても、接種の強制はできないので注意すること
- ワクチン接種の推奨をする場合には、特別休暇の設定がお勧め
ここまでワクチン・予防接種が経費にできるのか、できるのであればどのように経理処理すればよいのかなどを中心に解説してきました。
新型コロナの関係で、ワクチン接種が増えてくる世の中になる可能性もありますから、先に補助制度を作っておくことをお勧めします。ぜひ検討してみてくださいね。それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。