いよいよ、2023年10月よりインボイス制度が開始します。制度開始後に気になるのは、領収書の取り扱いです。なかでも、領収書がもともと発行されない場合について、誰もが気になるのではないでしょうか。
本記事では、もともと領収書が発行されない事例を取り上げ、対応方法について紹介します。
目次
自動販売機特例とは、自動販売機のようにはじめからインボイスが発行されない場合に設けられた特例です。インボイス制度開始後は、インボイスがなければ消費税の仕入税額控除が適用できません。自動販売機は、もともと領収書やレシートが発行されるような仕組みはなく、インボイス制度が開始された後もこの仕組みには変わりがありません。
では、自動販売機で買った商品は、仕入税額控除が適用できないのでしょうか。そのポイントは「代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置」という定義にあります。
代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であれば、インボイスがなくても仕入税額控除の適用が受けられます。
代金の受領と資産等の譲渡が自動で行われる機械装置とは、自動販売機です。たとえば飲み物を自動販売機で購入したと仮定しましょう。代金の支払いと同時に、商品を受け取ることができ自動販売機だけで、金銭の授受とサービスの提供が完結します。自動販売機だけではなく、コインロッカーやコインランドリーも自動販売機特例の対象になります。
自動販売機とよく似た仕組みに、コインパーキングやセルフレジがあります。セルフレジは、有人のレジと無人のレジの違いがあり、商品やサービスの受領とは別になるため、違いについて理解しやすいでしょう。
コインパーキングの場合、駐車場という施設と料金の支払いという2種類から成り立ちます。サービスの対象となっているものは「駐車場」という施設です。料金を支払うために自動精算機を使用しているだけで、精算機からサービスを受けている訳ではありません。そのため、自動販売機のように一カ所でサービスの提供と金銭の授受が完結しておらず、インボイスが必要です。
通常のインボイスではなく、駐車場の場合は簡易インボイスが認められています。簡易インボイスとは、不特定多数の方にサービスを提供することを目的としているため、記載内容がインボイスとは異なります。具体的には次の5つです。
通常のインボイスは、この5つに加え「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」があります。不特定多数の方を対象にしている場合は、氏名や名称を省いていることが特徴です。経理担当者は、上記の内容の記載があれば消費税の仕入税額控除が受けられるため、駐車場の利用時には簡易インボイスの提出を求めましょう。また、受領後は最低7年間の保存が必要であるため、電子帳簿保存法からの視点からもPDF化をはじめ電子データ化を検討しましょう。
参考記事:国税庁 適格請求書等保存方式の概要
電子帳簿保存法については、下の参考ページをご覧ください。
参考記事:電子帳簿保存法とインボイス制度の違いと関係。同時対応が楽って本当?
参考記事:電子帳簿保存法って?電子保存が義務化?システムを導入しない方法は?
自動販売機以外にも、インボイスの発行が不要とされる取引があります。多くの企業が該当する代表的な事例は次の3つです。
以上の3つの中で注意が必要なのは「3万円未満の公共交通機関(バスや鉄道、船舶)による旅客の運送」です。たとえば、3万円未満かどうかの判定は、1回の取引額で判断します。ひとりあたり1万円の交通費を2人分支払った場合は、3万円未満の取引に該当します。一方、3人分支払った場合には3万円であり、3万円未満とはなりません。この場合、インボイスの交付が必要になります。複数人で出張に行くような場合は、インボイスの取り扱いについて注意しましょう。
参考記事:国税庁 少額特例
インボイス制度開始後は、仕入税額控除を受けるためにインボイスが必要です。ただし、一部の取引では、要件にあてはまった場合にのみインボイスがなくても仕入税額控除の適用が可能です。
特例措置を適用していても、適用できる金額の範囲をはじめ要件から外れてしまうと適用できない場合があります。
経理担当者は、インボイスの必要性について理解し、保存方法にも気を付ける必要があります。インボイスは、特例措置が多く判断が難しいポイントもあるため、専門家に相談するなど、誤りが発生しないよう事前防止する方法も必要です。
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