前受金や前受収益、仮受金などのような勘定科目は、どれも金銭を受け取った後の勘定科目として登場します。しかしどう違うのかは気になるところでしょう。そこで前受金や前受収益、仮受金の違いや使用シーンを、実際の仕訳を例に出しながら簡単に解説していきます。
前受金、前受収益、仮受金の違いと仕訳例
前受金、前受収益、仮受金はどれも似た勘定科目です。しかし各科目で意味合いが全く異なりますので、しっかりと押さえておきましょう。
前受金、前受収益、仮受金の違い
- 前受金:継続的でない売上の一部を先に受け取った
- 前受収益:継続的な売上の一部を先に受け取った
- 仮受金:受け取り理由が不明な場合
このように前受金と前受収益は売上に関係した科目であるのに対し、仮受金はなぜ入金されたかわからない時に使用する科目です。売上や仕入れに関係してくることも多く、基本的には決算の時までには仮受金は0となっているのが理想です。
前受金の仕訳例
前受金はいわゆる手付金や内金に該当します。商品やサービスを引き渡す前に、契約金の一部もしくは全部を受け取った場合に、前受金で処理をします。
(以上、参考記事より。なお仕訳例も参考記事をご確認ください。)
(参考記事:
預り金の仕訳方法は?貸方、借方?前受金、立替金との違い)
前受収益の仕訳例
前受金も前受収益も、事前に受け取ったお金を仕訳するときに使う勘定です。そして2つの科目の大きな違いは、「継続的かどうか」が大事なポイントとなります。
例えば前受収益として計上されるものには、家賃や受取利息、手数料などが挙げられます。どれも基本的に単発で終わる取引ではないからです。長期に渡って取引が予定されていているものが、前受収益として仕訳されます。
(仕訳例)10月に1年分の家賃120万円を振り込まれた。当社は3月決算。
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
現預金 |
1,200,000円 |
売上 |
600,000円 |
|
|
前受収益 |
600,000円 |
このように来期に売上とすべく半年分のみ、前受収益とします。ただし、他にも仕訳方法がありますので、もう1つ仕訳例を挙げましょう。
(入金時:全額売上)
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
現預金 |
1,200,000円 |
売上 |
1,200,000円 |
(3月決算時:翌期分を振替)
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
売上 |
600,000円 |
前受収益 |
600,000円 |
(翌期4月:今期分になるので売上へ振替)
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
前受収益 |
600,000円 |
売上 |
600,000円 |
このように入金があったときにはいったん全額売上にしておき、後に振り替える方法もあります。こちらのほうが売上の資料管理がしやすいため、こちらの仕訳方法を使用することも多いです。
仮受金の仕訳例
仮受金は、不明な入金をとりあえず計上しておくための勘定科目です。内容を確認するのに時間がかかる場合は、いったん仮受金として計上します。
(仕訳例)10万円の入金があったが、理由、内容が不明。
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
現預金 |
100,000円 |
仮受金 |
100,000円 |
後日、全額売掛金が早めに入金されたことがわかった
借方科目 |
借方金額 |
貸方科目 |
貸方金額 |
仮受金 |
100,000円 |
売掛金 |
100,000円 |
このように売上に関係することもあれば、仕入の割戻金であったり、受取利息であったりと、その時によって全く違う科目へ振り替えることになります。
いつでも使える科目なので、とにかくわからない入金には仮受金で対応すれば良いでしょう。ただし決算時には不明金をできる限り減らした方が良いので、決算時までにはなくなるように各所へ問い合わせしておくことが大事です。
未払金、未払費用も前受金、前受収益と同じ
前受金と前受収益の違いは、「継続的な商品、サービスの提供による入金かどうか」ということでした。そして反対に、未払金と未払費用も「継続的な経費かどうか」で科目が変わります。
例えば水道光熱費のように毎月かかる経費は、未払費用での計上が良いでしょう。逆に単発で購入した事務用品や飲料品などの経費は、未払金で計上します。このように未払金と未払費用の違いも「継続的かどうか」を問われるのです。
まとめ
- 前受金と前受収益は事前に受け取った売上分
- 違いは継続的な取引かどうか
- 仮受金は内容不明の入金
- 未払金と未払費用は未払いな経費で、継続的なものかどうかで科目を変える
ここまで前受金と前受収益、仮受金の違いを解説してきました。仕訳例も交えてはいるものの、簡単に紹介しただけですのでまだまだ「自分、自社の例ではどうなるのかわからない」という方もいらっしゃることでしょう。
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それではスタッフ一同、みなさまからのご連絡をお待ちしております。ここまでお読みいただきありがとうございました。