会社設立や個人事業主の開業にあたり、創立費や開業費という繰延資産があるのはご存知でしょうか。創立費や開業費をいつまでに償却すれば良いのかわからない、という方もいらっしゃいます。
そこで今回は、創立費や開業費をいつまでに償却すれば良いのか、償却するならどんなタイミングが良いのかなどを解説します。今期、償却するか迷っている方もぜひご一読ください。
目次
創立費と開業費は似た意味合いを持っています。計上違いのまま申告しても問題ないのか、個人事業主はどの勘定科目を使うのかなどを紹介しましょう。
創立費とは会社設立のためにかかった費用のこと。そして開業費とは会社設立をしてから実際に開業するまでにかかった費用のことです。
例えば、会社登記にかかった手数料などは創立費ですが、開業前の店舗の賃料は開業費となります。
個人事業主は登記が不要なので創立費の科目を使うことはなく、全て開業費で計上することとなります。創立費は会社設立をする場合にのみ発生する、と覚えておけば大丈夫です。
なお創立費と開業費に計上間違いがあっても、申告では問題ありません。どちらも同じ繰延資産として取り扱うため、どちらに計上したとしても大きな違いがないからです。計上する側の利便性の問題なので、あまり気にしすぎないことが大事です。
創立費と開業費は繰延資産と呼ばれ、どちらも初年度で費用とすることは少ないものです。それなりに高額となる上、初年度に創業費と開業費を全額損金にすると赤字となることが多いからです。
そこでこれら2つの科目については、繰延資産という扱いをとり、一括で経費には入れないことになっています。ではどのように経費に入れるのかといえば、5年間の均等償却です。しかし任意償却も認められているため、実務上は「いつでも償却して良い」ということになります。黒字に転換するタイミングで費用とすれば納税額が少なくて済みますので、計画的な償却をおすすめします。
続いて、繰延資産である創立費と開業費の償却タイミングについてご紹介しましょう。償却をいつにすれば効果的な節税を行うことができるのでしょうか。
創立費や開業費のような繰延資産は、償却期限がありません。そのためまずは期限のあるものを使ってしまう必要があります。それは赤字期間の欠損金です。
欠損金とは、所得税は赤字申告をした年の3年後まで、法人税は10年後(2021年現在)まで、赤字分と黒字分とを相殺できる金額のこと。このように長いとはいえない期限付きですので、まずは欠損金での相殺を利用しましょう。
では繰延資産の償却は、黒字が出たらすぐに行って良いのでしょうか。実は黒字だからといってすぐに償却してしまうと、節税効果が薄れてしまうことがあります。なぜなら税率を考慮する必要があるからです。
中小企業の場合は「中小企業者等の法人税率の特例」によって、年間800万円までであれば所得税率が23.2%ではなく15%となっています(2021年12月現在)。ですから年間800万円まではそのままにしておいて、800万円からはみ出た部分だけを繰延資産の償却額で減らすのです。
例えば今年度所得700万円、次年度所得1,000万円、繰延資産200万円だった場合を考えていきましょう。今年度で一気に繰延資産を償却すると、2年間の所得税は24141.4万円となります。対して今年度所得は800万円に満たないため資産償却をせず、次年度でのみ償却した場合には225万円となり、16.4万円の節税となります。
このように「税率が変わってしまう金額のみ償却する」という考え方で繰延資産の償却を行えば、より節税効果が高くなります。
創立費や開業費以外にも、繰延資産があります。それは株式交付費や社債発行費、開発費です。これらは創立費や開業費と同じように任意償却が可能ですので、いつでも好きなタイミングで損金計上ができます。これらをしっかりと利用して節税しましょう。
ここまで創立費や開業費の違い、償却のタイミングについてなどをお伝えしてきました。しかし実務で扱うのはなかなか難しいですし、本当に処理が合っているのか、節税効果が出ているのか、わかりづらいことも多いでしょう。特に会社設立時や起業時は、なかなか事務に時間を割くことが難しく、しっかりした節税対策をとることが難しいことがほとんどです。
そこでぜひ、私ども税理士法人GrowUpへご相談ください。私どもであれば会社設立支援や経理代行、そして申告代行まで、様々な事務の代行が可能です。できる限り創業時の負担をなくすため、事務作業は代行を利用したほうが良いでしょう。そちらについては関連記事をご確認ください。
(関連記事:起業始めこそ経理代行!会社設立費用を抑えることも可能って本当?)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。繰延資産も含め、節税対策は様々なものがあります。ぜひご活用ください。
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