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2026年1月1日、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が改正され、「中小受託取引適正化法(略称:取適法)」として施行されました。約20年ぶりの抜本改正です。
名前だけでなく中身も大きく変わっています。手形による支払いの全面禁止、振込手数料の負担ルール変更、価格協議の義務化など、経理部門の業務に直接影響するルールが複数追加されました。
滋賀県は製造業が盛んで、県内総生産に占める第二次産業の割合は全国トップクラスです(滋賀県「なんでも一番」)。県内の中小企業は約32,000社あり、そのうち製造業の下請け取引を行っている企業は少なくありません(滋賀県中小企業白書)。
この記事では、取適法で何が変わったのか、経理の現場で具体的に何をすればよいのかを整理します。
改正の内容は多岐にわたりますが、経理部門に特に関係の深い変更点を5つに絞って説明します。
これまで下請代金の支払いに使えていた約束手形が、取適法では使用禁止になりました。電子記録債権やファクタリングも、支払期日までに満額の現金を受け取れない仕組みであれば同様に禁止です(公正取引委員会リーフレット)。
手形で支払っていた企業は、銀行振込や60日以内に現金化できる電子記録債権に切り替える必要があります。
改正前から振込手数料の差引きはグレーゾーンでしたが、取適法では明確に「減額」行為として違反になります(公正取引委員会リーフレット)。
たとえば「振込手数料は受取側負担」として代金から440円を差し引いて振り込んでいたケースは、施行後は違反になります。経理部門は振込時の手数料処理を見直し、自社負担に切り替える必要があります。
納品を受けてから60日以内に代金を支払うルールは従来と同じですが、手形廃止に伴い「120日サイトの手形で実質的に支払いを先延ばし」といった慣行は使えなくなりました。60日ルールが現金ベースで適用されるため、支払管理のスケジュールを改めて確認する必要があります。
受託者から「原材料が値上がりしたので代金を見直したい」と求められたとき、協議に応じずに一方的に価格を据え置くことが違反になりました(日本経済新聞)。
経理部門としては、価格改定の交渉記録を書面やメールで残しておく運用が求められます。「言った・言わない」を防ぐためのエビデンス管理が重要です。
従来の下請法は資本金の金額で適用の有無を判定していましたが、取適法では「従業員数」も基準に加わりました。また、製造委託等の目的物の引渡しに必要な運送の委託も新たに対象になっています(中小企業庁の解説)。
これまで「うちは下請法の対象外」と考えていた企業が、取適法では対象になる可能性があります。自社の取引が対象かどうか、改めて確認が必要です。
法律の変更点を理解したうえで、経理の現場で具体的に何を見直すべきかを整理します。
手形で支払っていた取引先がある場合は、銀行振込に切り替える作業が発生します。切り替えにあたっては以下の対応が必要です。
手形から振込に変わると、資金が手元から早く出ていくことになります。資金繰り表の見直しも合わせて行いましょう。
これまで受取側に振込手数料を負担させていた場合は、以下の変更が必要です。
1件あたり数百円の差顝でも、取引先が多ければ月額・年額で無視できない金額になります。コスト増加分を把握し、予算に反映させることが大切です。
価格協議の義務化に伴い、交渉の経緯を記録として残す必要があります。具体的には以下のような運用が考えられます。
経理部門だけでなく、購買部門・営業部門との連携が不可欠です。社内で「誰が、どのタイミングで、どう記録するか」を決めておきましょう。
取適法の適用基準は、改正前の下請法より広くなっています。
改正前は資本金の金額だけで判定していましたが、取適法では従業員数も基準に加わりました。たとえば資本金が少額でも、一定数以上の従業員がいれば「委託事業者」として規制の対象になる場合があります。
また、製造委託だけでなく、役務提供委託(清掃、保守、運送など)も対象です。「製造業ではないから関係ない」とは限りません。
自社の取引が対象になるかどうかは、公正取引委員会のリーフレット(PDF)や政府広報オンラインの解説ページで確認できます。判断が難しい場合は、税理士や弁護士に相談するのが確実です。
施行からすでに3ヶ月が経過しています。まだ対応が済んでいない企業は、以下の順番で進めるのが効率的です。
①自社の取引を棚卸しする。 取引先ごとに、支払方法(手形・振込)、支払サイト、振込手数料の負担先を一覧表にまとめましょう。
②該当する取引の契約書を修正する。 手形払いの条項を削除し、振込手数料の負担を委託者側に変更する旨を記載します。
③会計ソフトの設定と支払フローを更新する。 手形台帳を廃止し、振込手数料の勘定科目を見直します。
④資金繰り表を再作成する。 手形の決済日がなくなるため、現金の流出タイミングが変わります。月次の資金繰りに影響がないか確認しましょう。
これらの作業は経理部門だけで完結しません。購買・営業・総務との連携が必要ですし、取引先への通知も含めると手間がかかります。経理担当者が1〜2名の中小企業では、通常業務と並行して進めるのは負荷が大きいでしょう。
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