毎月必ず発生する給与計算。従業員の生活に直結するため、1円の間違いも許されない重要な業務です。しかし、社会保険料や税金の計算は複雑で、法改正も頻繁に行われるため、担当者には大きな負担がかかります。
「担当者が急に辞めてしまったらどうしよう…」
「本来の業務に集中したいのに、給与計算に時間がとられる…」
このようなお悩みをお持ちの経営者様・ご担当者様も多いのではないでしょうか。その解決策として、給与計算業務を外部の専門家に委託する「アウトソーシング」が注目されています。
本記事では、給与計算をアウトソーシングするメリットと、委託する際の注意点について詳しく解説します。
給与計算をアウトソーシングする4つのメリット
給与計算をアウトソーシングするメリットは、主に4つあります。
1. コア業務に集中でき、生産性が向上する
給与計算にかけていた時間や労力を、売上向上に直結する営業活動や新商品開発といったコア業務に振り分けることができます。
ノンコア業務を外部に任せることで、社内の貴重なリソースを有効活用でき、組織全体の生産性向上につながります。
2. コスト削減につながる
給与計算を自社で行う場合、担当者の人件費だけでなく、給与計算ソフトの導入費用や維持費もかかります。
アウトソーシングを利用すれば、専門の人材を雇用する必要がなくなり、採用・教育コストを削減できます。
特に、担当者の退職に伴う引き継ぎや再教育のリスクを考慮すると、長期的に見てコストを抑えられるケースは少なくありません。
3. 専門知識で法改正にも迅速に対応できる
給与計算には、所得税法、労働基準法、社会保険関連法など、多くの法律が関わってきます。
これらの法改正は頻繁に行われるため、常に最新情報をキャッチアップし、正確に業務へ反映させる必要があります。
アウトソーシング先は法改正に対応する専門知識とノウハウを持っているため、コンプライアンスを遵守した正確な給与計算が可能です。
4. 業務の属人化を防げる
給与計算を特定の担当者一人が担っている場合、その担当者が急に休職・退職してしまうと、業務が滞ってしまうリスクがあります。
アウトソーシングすれば、業務が個人に依存することがなくなり、安定した業務運用が可能になります。
給与計算が依頼できるアウトソーシング先3つ
給与計算をアウトソーシングする歴には、主に3つが挙げられます。
税理士事務所・会計事務所
税務の専門家であるため、税金の計算が絡む給与計算や年末調整を安心して任せられます。会社の税務顧問を依頼している場合は、まず相談してみるのがスムーズです。
給与計算代行会社
給与計算業務に特化した専門業者です。クラウドシステムを活用し、Web上で完結するサービスも多く、従業員数の多い大企業向けのサービスも充実しています。
コストを抑えたい場合や、特定の業務だけを効率化したい場合に有力な選択肢です。
社会保険労務士(社労士)事務所
人事・労務の専門家です。社会保険・労働保険の手続きや助成金の申請、就業規則の見直しといった、給与計算と関連の深い労務管理全般の相談も可能です。
従業員の入退社が頻繁に発生する企業に適しています。
ただし、事務所の営業形態により年末調整は受託していない先があるため確認が必要です。
アウトソーシングする際の注意点と選び方のポイント3つ
メリットの多いアウトソーシングですが、依頼する際にはいくつか注意すべき点があります。
情報漏洩のリスク
従業員のマイナンバーや給与といった重要な個人情報を外部に渡すことになるため、委託先のセキュリティ体制は必ず確認しましょう。プライバシーマークの取得状況や機密保持契約の締結など、情報管理体制がしっかりしているかどうかが重要な選定基準となります。
社内にノウハウが蓄積されない
全てを丸投げしてしまうと、自社で給与計算業務を遂行できる人材が育ちにくくなります。将来的に内製化を考えている場合は、業務範囲を限定するなど工夫が必要です。
委託できる業務範囲の確認
一口に給与計算アウトソーシングといっても、サービス会社によって対応範囲は様々です。「どこからどこまで」を依頼したいのかを明確にし、自社のニーズに合ったサービスを選びましょう。(例:勤怠データの集計、給与計算、明細書発行、振込データ作成、年末調整など)
年末調整もアウトソーシングして、繁忙期の手間を大幅削減
給与計算と並んで担当者の大きな負担となるのが、年に一度の「年末調整」です。従業員から各種申告書を回収し、内容をチェック、控除額を計算して還付・徴収額を確定させる…という一連の作業は、非常に手間と時間がかかります。
多くの給与計算アウトソーシングサービスでは、この年末調整も合わせて委託することが可能です。専門家に任せることで、書類の不備チェックや複雑な計算から解放され、担当者は年末の繁忙期でもコア業務に集中できます。
給与計算や年末調整のアウトソーシングは、業務負担を軽減し、経営を効率化するための有効な手段です。自社の状況に合わせて、導入を検討してみてはいかがでしょうか。